削除にかかわる責任と免責

情報の媒介者の責任

削除にかかわる責任と免責

【削除しなかった場合の責任】

プロバイダ等が権利侵害情報の被害者に対する民事責任を負う場合とは、以下の通り。

1.削除等の送信防止措置をとることが技術的に可能な場合

2.他人の権利の侵害を知っていたとき

3.当該情報の流通を知っており、他人の権利が侵害されていることを知ることができたと認められる相当の理由があるとき

上記の 1+2(=情報の存在を知っていただけでなく、権利侵害まで知っていた) または 1+3(=情報の存在は知っていたが権利侵害までは知らなかったものの、一定の注意を払えば権利侵害であると認識できた) のときに、民事責任を負うことになる。

【削除しないことの責任が発生しない場合】

プロバイダが情報自体の存在を知らない場合には責任が発生しない。

自らの管理する掲示板等に権利侵害情報がないかをプロバイダなどが常時監視する「義務」はない(もちろん、常時監視が可能なら実施した方がよい)。

実情としては、被害を訴える者や人権擁護業務を行う法務局の通報を受けてから、それが本当に権利侵害情報に当たるかどうかを判断することも少なくない。

要件が充たされている場合でも、ただちにプロバイダ等の責任が発生するわけではない。

プロバイダ等の作為義務違反、損害賠償責任に関する一般的な要件(因果関係など)が存在してはじめて、プロバイダ等の損害賠償責任が発生。

【削除した場合の免責】

権利侵害情報と判断して削除した場合、当該情報の発信者から責任を問われることがある。

これに対し、プロバイダ責任制限法3条2項は免責事由を定めており、以下に該当すれば免責される。

・プロバイダ等が他人の権利が不当に侵害されていると信じるに足る相当の理由(例えば、社会的評価を低下させる情報発信だけでなく、その情報に公共性や公益目的がなく、真実でないなどの事情があるとか、法務省人権擁護機関や信頼性確認団体から削除を依頼されたとか、等)があった場合。

・被害者から削除の申し出があったことを発信者に連絡して、7日以内に反論がない場合(特例として、選挙運動とリベンジポルノは2日に短縮)。

※ただし、判断に誤りがあり、それについて十分な注意を払っていないとされる場合は免責されず、責任を負う。
※プロバイダ等にとっては自らこうした判断をするのは負担であろうが、信頼性確認団体が削除依頼をしてきたのであれば、判断の負担は軽減される(プロバイダ等が他人の権利が不当に侵害されていると信じるに足る相当の理由にあたるといえる)。
※信頼性確認団体は、業界の定めたガイドラインに基づいて判断を行っている。

引用:総務省ウェブサイト

(https;//www.soumu.go.jp/main_content/000670010.pdf)