(4)電気通信事業法の改正

個人情報保護法及び電気通信事業法の改正

個人情報保護法及び電気通信事業法の改正

  • (4)電気通信事業法の改正
  •  2022年6月に電気通信事業法が改正され(施行は成立後1年以内)、一定の規律が導入された。その概要は図5のとおりであるが、2つの柱があり、第1は、大規模な電気通信事業者(検索サービスやSNSの事業者も含む)に対して、利用者情報の適正取扱いの義務を課したことである。第2は、電気通信事業者等に対し、外部に情報を送信する際に確認の機会を付与するよう義務付けることである。
  •  クッキーに関する規律は第2の柱に関わる。規律対象となるのは、一般の電気通信事業者のほか、ウェブサイトの運営者も広く含まれる。これらの事業者は、クッキーを利用する場合には、原則として、クッキーにより送信されるデータ、送信先等の事前通知又は事前公表を行わなければならない。
  •  クッキー等の端末識別子は、単体で取り扱われる限り、個人情報保護法にいう「個人情報」に該当しないと理解されており、行動ターゲティング広告の配信等に広く利用され、プライバシーの問題が指摘されていながら、これまで法的な規律が十分行われてきていなかった(ただし、上記のリクナビ事件では、クッキーが利用された部分があり、それに対応する2020年の改正は、クッキーの利用規制の側面を有する)。今回の法改正は、この点に対応しようとするものである。

図5 電気通信事業法の一部を改正する法律の概要
出展:総務省(2022)「特定利用者情報の取扱いに関する規律の詳細における検討事項」を元に筆者作成