(3)有害情報

インターネット上の違法・有害情報

インターネット上の違法・有害情報

(3)有害情報

    (3-1)有害情報の種類

  •  有害情報は、違法とはいえないが、当該情報の閲覧が何らかの理由により害になるのではないかと思われるような情報である。有害情報は、違法情報と異なり、そのような情報のアップロード自体が禁止されているようなものではない点に注意が必要である。
  •  有害情報には誰にとっても有害な情報、つまり、公序良俗に反するような情報と、成長段階である青少年が閲覧することが有害な情報とに分けられる。
    (3-2)公序良俗に反する情報

  •  自殺の誘引をする投稿、人の遺体等の画像等、また違法行為の一般的請負などに関する情報は、一般人であれば、閲覧することを望まない情報であり、また、その流通が公序又は善良な風俗の見地からして望ましくない情報である。しかし、違法ではない以上、そのような情報の発信や受信が禁じられているとは言えず、サーバー管理者等が勝手に削除等をした場合、法的責任が発生しないとはいえない。
  •  とはいえ、サーバー管理者や情報の媒介者であるプロバイダーとしてはこのような情報の流通を認めたくないであろう。そこで、実際上は、ユーザーとの契約において、このよな公序良俗に反する情報の投稿を禁止行為とし、このよな禁止対象たる情報が投稿された場合、管理者の判断において削除できる旨の規定を設けることが行われている。このような規定に基づいた削除等であれば、ユーザーとの合意による対応として、法的責任を負わない形で対応が可能である5
    (3-3)青少年有害情報

  •  一般人にとっては閲覧することに何ら問題がない情報であっても、発達途上の青少年が閲覧した場合、青少年の発達に有害な影響を与える情報が存在する。かかる情報は受信者の発達段階に応じて、その有害性が異なることになる。
  •  このような情報を青少年有害情報というが、青少年有害情報に対する対策として、「青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備に関する法律」が制定されている。同法では、青少年有害情報は、「インターネットを利用して公衆の閲覧に供されている情報であって青少年の健全な成長を著しく阻害するもの」と定義されているが、その具体的内容は例示に留まっており、例えば、犯罪の誘引、アダルト、残虐などの情報が挙げられている。
  •  そもそも、違法情報ですら、その判断が難しく、法律によってこれを規制することは、表現の自由との観点で問題となりうるところ、受信者によって有害性が異なるような表現を法で規制することは重大な問題であり、同法も青少年有害情報を法的に規制しておらず、民間の自主的な取組として、青少年による青少年有害情報の閲覧機会の最小化を内容とするものとになっている。
  •  青少年有害情報の閲覧機会の最小化とは、具体的には、フィルタリング6等の利用である。フィルタリングは、受信者側で情報の閲覧をするかしないかの選択ができることから、青少年の発達段階に応じた情報の選択がしやすいし、また、フィルタリングを利用しない限り、同情報の受発信は、何ら制限されないから、表現の自由・知る権利の観点からの問題も生じにくい。
  •  なお、青少年有害情報については、表現の内容そのものが有害と考えられる、アダルトや残虐などのコンテンツリスクと、表現の内容ではなく、そのような表現(投稿)を行った者と青少年が接触することで青少年の健全な発展が阻害されるコンタクトリスクがある点を考慮しておく必要がある。
  •  コンタクトリスクとは、インターネットをコミュニケーションとして使い、投稿者と接触することで、例えば、青少年が青少年保護育成条例違反、児童買春、児童ポルノ製造などの被害者となるリスクである。このような観点から、携帯電話事業者などが提供しているフィルタリングサービスでは、コミュニケーションに分析されるサービスは原則として7フィルタリングの対象とされているが、利用者の判断によるフィルタリングの解除等の仕組みが導入され、過度な制限にならにような工夫がされている。

    • 5 電気通信事業者協会、テレコムサービス協会、日本インターネットプロバイダー協会、日本ケーブルテレビ連盟「違法・有害情報への対応等に関する契約約款モデル条項」2014年。(http://www.telesa.or.jp/wp-content/uploads/consortium/illegal_info/pdf/The_contract_article_model_Ver10.pdf)等参照。

    • 6 フィルタリングの詳細については、内閣府のウェブサイト(http://www8.cao.go.jp/youth/youth-harm/seibi_law/)(access:2015年7月31日)を参照。

    • 7 インターネット上のサイトの管理状態を監視し青少年の利用に適切であるか否かを審査する第三者機関として一般社団法人モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)(https://ema.or.jp/)や一般社団法人インターネットコンテンツ審査監視機構(I-ROI)(http://www.i-roi.jp)などがある。

    • 参考文献
    • 総務省インターネット上の違法・有害情報への対応に関する検討会「最終とりまとめ」2009年。(http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/2009/090116_1.html)