《 ソーシャルメディア時代のメディア情報リテラシー 》 ◆クリティカルシンキングによる吟味
§ 「システム1」と「システム2」
私達の脳には「システム1」と「システム2」があると言われる。「システム1」は無意識のうちに日常的に動いており、生活の中で接する大量の情報を自動的に処理する。「システム2」は複雑な情報や状況を理解するために、意識的に動かす必要がある。
システム1を具体的に説明する。「信号が赤になれば止まる」「3+3と聞けば6が頭に浮かぶ」。こういうときに私達はいちいち真剣に考えない。システム1が自動的に答えや取るべき行動を導き出してくれる。
次にシステム2である。「865×543」「クリティカルシンキングについて400字で説明しなさい」。これらの問題を聞いて、頭の中に自動的に答えが出てきた人はほとんどいないであろう。意識して考える必要がある。これがシステム2である。
クリティカルシンキングをするということはつまり、システム2を動かすということである。ミュラーリヤーの錯視のような2本の線を見たときに、直感的に「同じ長さ」と答えるのではなく、念のために定規で測るような思考方法である。