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《 有害情報コントロールの実務 》 ◆表現型コンテンツの具体的な対策 § 閲覧防止措置の具体策その2(サイトマップの作製、リンク先ドメインの管理)

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(廃棄ドメインの管理に問題があった事例)

 A社とB社は家庭用ゲームを開発する企業であり、それぞれの内部規則に従って、過去の作品を管理していた。A社の内部規則では、自社が開発したゲームタイトルのインターネットドメインを保持し続けるとしていた。それに対してB社は、ゲームタイトルの販売終了から一定の期間を経た後は、そのゲームタイトルのドメインを更新しないこととしていた。

 ◯◯◯.com などで表示されるドメインは、定められた契約年数を経ると更新か終了かを選択する必要があり、契約を継続する場合は当然ながら費用が発生する。

 そのようなA社とB社が、ある日、合併してC社となった。C社は、ゲームタイトルのドメイン管理の方針として、B社の内部規則を採用した。その結果、C社となった後の旧A社のゲームタイトルも、販売終了後、一定期間後にはドメインを更新されなくなった。

 契約が更新されなかったドメインは、契約終了後、誰でも自由に取得することができる。旧A社のある作品のドメインも、契約終了により、C社とは無関係の第三者が新たな所有者となった。

 新たなドメイン所有者はアダルトサイトの事業者であり、そのゲームタイトルと同じ名称のドメインを自社のアダルトサイトに関連づけたため、旧A社のユーザーがそのゲームタイトルを検索した際にアダルトサイトに飛ばされてしまう事例が発生したのである。そのため、C社のゲームタイトルの管理、ひいてはC社自身のブランド管理方針そのものが問われることとなった事例である。

 ここで注意する必要があるのは、アダルト事業者が違法な方法やアンフェアな方法でドメインを取得したわけではないという点である。アダルト事業者は、契約の終了したドメインを合法的かつ正式な手続きで取得したため、その点については問題がない。

 ゲームタイトルをアダルトサイトに関連付けて、ゲームタイトルのブランドを利用して自社のアダルトサイトにユーザーを誘引した手法については、倫理的な面からは非難される可能性もあるが、この問題の本質は、C社(合併前のB社)の作品管理、ブランド管理の社内体制に問題があったという点とリンク先の管理に不備があったことである。

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