+ 詳説(ロクラクⅡ事例)

《 インターネットでのコンテンツ利用の注意 》 ◆著作権とは § サーバー管理者が著作権侵害の責任を問われる場合

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 このような、自ら物理的な行為をしていないにもかかわらず、著作権侵害の行為主体として責任を追及される場合については、事業者がインターネット通信機能を有するハードディスクレコーダを製造、販売、貸与し、同レコーダに遠隔地からインターネットを介してユーザーが録画指示をしたテレビ番組を、同ユーザーがインターネット経由で遠隔地から視聴できるようになっていたという事案* において、最高裁判所は、「複製の主体の判断に当たっては、複製の対象、方法、複製への関与の内容、程度等の諸要素を考慮して、誰が当該著作物の複製をしているといえるかを判断す」べきとした上、サービス事業者が「放送番組等の複製の実点における枢要な行為をして」いるとして、複製の主体と判断している。

 このような裁判例から見れば、結局、サービス全体を考慮して、サーバー管理者が著作権侵害の主体と判断されるか否かが実質的に判断されることになる。とはいえ、過去、実際にサーバー管理者が著作権侵害を問われた事例は、対象のコンテンツが音楽、テレビ番組等、他人の著作物を利用することが当然予想されていたか、削除要求等があってもきちんと対応していない場合である。したがって、他人が著作権を有するような著作物に関するサービスでない限り、権利者からの要求に対して、誠実な対応をしていれば、侵害行為の責任を問われる可能性はないと思われる** 。

* 最判平23・1・20民集65巻1号399頁。

** 著作権ではなく、商標権侵害の事案ではあるが、ネット上のショッピングモールの店舗が商標権侵害となる商標を使用していた事案で、裁判所が「ウェブページの運営者が、単に出店者によるウェブページの開設のための環境等を整備するにとどまらず、運営システムの提供・出店者からの出店申込みの拒否・出品者へのサービスの一時停止や出店停止等の管理・支配を行い、出店者からの基本出店料やシステム利用料の受領等の利益を受けている者であって、その者が出店者による商標権侵害があることを知ったとき又は知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるに至ったときは、その後の合理的期間内に侵害内容のウェブページからの削除がなされない限り、上記期間経過後から商標権者はウェブページの運営者に対し、商標権侵害」を問いうるとはしたものの、合理的期間内に削除がされているとして、モール運営者が責任を負わないとした裁判例がある(チュッパチャプス事件(知財高判平24・2・14判タ1404号217頁))。この裁判例にしたがっても、合理的期間内に適切な対応をすることで、サーバー管理者が責任を問われるリスクはかなり軽減されると言える。

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