§ 公法的違法情報

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§ 公法的違法情報

 違法情報には、被害者の権利の侵害を前提とせず、刑法等で直接禁止されている情報が存在する。

 具体的には、児童ポルノ(児童買春・児童ポルノ禁止法)、わいせつ(刑175条)、規制薬物の広告(麻薬取締法29条の2)などである。

 これらは、一定の表現行為そのものが刑罰をもって禁止されているものであり、これらの情報を発信する行為が規制されているものである。

 なお、これらの情報については、一定の表現そのものが違法とされていることから、たとえば、「わいせつ」などその判断が難しいものもあり、最終的な違法性の判断は裁判所が行うことになる。とはいえ、児童ポルノや、規制薬物の広告などは、違法性の判断がそこまで難しいものでもなく、そのような情報がインターネット上で流通されることはできるだけ防ぐ必要がある。

 違法情報の投稿自体が禁止されていることは前述のとおりだが、かかる情報の媒介者であるプロバイダにおいても、現在、このような情報を自主的に削除するための活動が行われている*。そもそも、これらの情報は、発信することが認められていないものであるから、サーバー管理者としても、これらの情報を必要な限度で削除しても管理者が責任を問われることはない。

 その一方、違法情報の投稿を知りつつそのまま放置しておいた場合は、違法情報への拡散行為を幇助したとして刑事責任を問われる可能性があるため、サーバー管理者としては適切な対応が必要である**。

* 電気通信事業者協会、テレコムサービス協会、日本インターネットプロバイダー協会、日本ケーブルテレビ連盟「インターネット上の違法な情報への対応に関するガイドライン」2014年。(http://www.telesa.or.jp/wp-content/uploads/consortium/illegal_info/pdf/20141215guideline.pdf)

** 状況によっては共同正犯として投稿者と同じ刑事責任を問われる場合もある(東京地判平18・4・21)など。

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