《 発信者情報開示制度の改正 》 ◆改正の概要
§ 発信者の保護等
検討過程で懸念が示された開示請求の濫用防止ないし発信者の保護に関しては、プロバイダの義務等が若干加重された。すなわち、開示請求を受けたときには、原則として発信者への意見照会を行わなければならないのは従来通りであるが、開示に反対する旨の意見である場合にはその理由も含めて聴取しなければならないとされた(6条1項)。また、開示命令を受けたときは、開示に反対する旨の意見を述べていた発信者に、その旨の通知をしなければならないこととされた(6条2項)。また、「新たな裁判手続」において、「利害関係を疎明した第三者」として、発信者には、事件記録の閲覧・謄写等が認められる(12条1項)。ただ、改正法に反映されたのはこの程度であり、開示請求の濫用防止ないし発信者の保護に関しては、事件を審理する裁判所の事案に応じた判断に委ねられるところが大きい。
なお、今回の改正後も、従来の2段階の手続を用いることは可能である。また、発信者情報開示請求権が実体的権利として存置されたため(5条1項柱書)、裁判外(任意)開示も引き続き可能である。