《 青少年インターネット環境整備法と特定サーバー管理業務 》 ◆青少年インターネット環境整備法の規定する関係者の役割と責務
§ 努力義務の問題点
これまで見てきた青少年インターネット環境整備法が特定サーバー管理者等に求める閲覧防止措置等の対応は、いずれも努力義務である。努力義務とは、たとえ違反したとしても法的制裁を受けることのない義務のことである。青少年インターネット環境整備法21条のように、条文の文末が「努めなければならない」という形で規定されている。
青少年インターネット環境整備法だけでなく、インターネットを取り巻く法制度では努力義務として規定されている項目が多い。これは、インターネットという現在進行形で発展と拡大を続けている新しい技術に対して、罰則を伴う規定は必ずしも有効とは限らず、立法の趣旨が達成されない可能性もあることが影響していると考えられる。
例えば青少年インターネット環境整備法の場合、閲覧防止措置等の対策を行うためにはコストが生じる。そのため、企業は自社の管理するサーバーに閲覧防止措置等の対応を行うことに消極的な傾向にある。
また、一般的な企業では、自社の提供するインターネットサービスに違法・有害情報を含むコンテンツなどあるはずがないと思い込んでいる場合もあり、そもそも閲覧防止措置などへの対応は必要ないと考えている企業も多い。
しかし、努力義務とはいえ、それに対応しないということは違法状態を放置することであり、デジタルコンテンツアセッサ(DCA)としてこれを見逃すことは望ましくない。
また、現在では努力義務として規定されている項目でも、将来的には罰則を伴う規定に改正される可能性もあり、努力義務で罰則がないからといって放置することは、組織としてリスクに対応しないことと同義であるといえる。
よって、DCAには、努力義務であるか否かを問わず、常に自らの管理する特定サーバー等を法令遵守の状態に保ち続けることが求められる。