《 iコンプライアンスの運用管理・体制整備の実務 》 ◆標準的な業務管理手法に則ったiコンプライアンスプログラムの実施
§ 標準的な業務管理手法(PDCAサイクル)に則ったiCPの運用例
インターネットでサービスを提供する企業Aでは、数年前に占いサイトを立ち上げた。Aは一般的なインターネットサービスを提供する企業で、成年向けのコンテンツは対象としておらず、経営者Bは自社のサービスに成年向けもしくはそれに類する内容が含まれているとは考えていなかった。
実際、この占いサイトは企画からサービス開始までBが携わっており、サービス開始の時点では成年向けの内容は含まれていないことをBは自分自身で確認していた。しかし、数年後、DCAによるチェックを行うと、成年向けの占いコーナーが設置されており、一般のユーザーから閲覧可能な状態になっていることが確認された。
調査によると、サービス開始後しばらくすると、Bは当該サイトの運営から離れ、インターネットサービスを担当する部署が引き継いだ。Bが離れてからもしばらくの間は、Bが携わっていた頃と同程度のユーザー数を維持していたが、次第に減少に転じた。担当部署は、ユーザー数を維持するために、サービス開始当初は存在しなかった成年向けの占いコーナーを設置して、いわゆるテコ入れを図ったのである。
経営者Bには当該サイトのユーザー数と売上のみが報告されていたため、Bは自分が運営から離れた後も同じようにサービスが提供されているのだろうと思い込んでおり、成年向けの内容が追加されていたのは予想外のことだった。