《 AIに対する社会的関心の高まり 》 ◆AI活用の過去と現在
§ AIを理解するために
現時点においてAIの定義に統一見解はない。そのため様々な定義がなされている。AIという言葉の生みの親であるマッカーシーは、AIを「知的な機械、特に知的なコンピュータプログラムを作る科学と技術」と説明し、究極的には「人間の脳に近い機能を持ったコンピュータプログラム」を作ろうとすることだとしている*1。他方、日本国内では、例えば一般社団法人人工知能学会がその設立趣意書で、人工知能は「大量の知識データに対して、高度な推論を的確に行うことを目指したもの」だと述べている*2。
AI研究者の間では、数十年前から「強いAI」と「弱いAI」という議論がある*3。「強いAI」とは、人間が心を持つのと同じ意味で心を持っているAIであり、他方、「弱いAI」とは、人間の心を持たず、有用な道具として機能するAIであると説明されている*4。
*1 John McCarthy(2007)What is Artificial Intelligence? (https://www-formal.stanford.edu/jmc/whatisai.pdf)
*2 一般社団法人人工知能学会(1990)「一般社団法人人工知能学会設立趣意書」(https://www.ai-gakkai.or.jp/about/about-us/jsai_teikan/)
*3 John Searle(1980) “Minds, Brains, and Programs”, The Behavioral and Brain Sciences, Vol.3, p417-457.
*4 松尾豊(2015) 『人工知能は人間を超えるか』KADOKAWA、p55.