《 AIに対する社会的関心の高まり 》 ◆AI活用の過去と現在
§ ニューラルネットワークとディープラーニング
近年のAIの多くは、コンピュータに大量のデータを読み込ませている。そこでは「機械学習」と呼ばれる手法が用いられており、「ニューラルネットワーク」を用いてデータを学習するのだが、特に「ディープラーニング(深層学習)」に注目が集まっている。
ニューラルネットワークは、人の脳の神経細胞(ニューロン)のネットワークを模倣している。「入力層」、「中間層(隠れ層)」、「出力層」から構成された3層パーセプトロンがよく知られている。
ディープラーニングは、このニューラルネットワークの中間層を多層(ディープ)にしたディープニューラルネットワークを用いている。多層化の利点としては、様々な分野で高精度を達成している点や、多層のモデルを用いることで異なるタスク間での転用可能性が広がる点が指摘されている*1。
他方、ディープラーニングで用いるニューラルネットワークでは、学習には膨大な反復を要するため、実用化にあたっては計算の効率化が求められる。それには並列化が欠かせないが、並列計算の実装としてはGPU(Graphics Processing Unit)が用いられている*2。すなわち、ディープラーニングの発展の背景にはGPUの存在があると言える。GPUは画像処理のために開発されたデバイスだが、その並列計算機能が機械学習の計算処理に役立つことが分かり、GPUをより効率的に機械学習に用いるためのデバイス制御ソフトウェアが開発されてきた*3。

出典:総務省(2019)『令和元年版 情報通信白書』p83.(https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r01/pdf/n1300000.pdf)
*1 AI白書編集委員会編(2023)『AI白書2023』角川アスキー総合研究所、p51.
*2 人工知能学会編(2017) 『人工知能学大事典』共立出版、p535.
*3 野村総合研究所(2024)『AIナビゲーター2024年版』東洋経済新報社、p68-70.