《 不正アクセス 》
◆不正アクセスの現状
今日、情報通信としてのインターネットの普及はめざましいものがあり、深く社会に根を下ろしつつある。これにより、従来直接対面当事者間でなされていたコミュニケーション、取引、サービスの提供などがインターネットを通じて提供されるようになっており、広く国民がその利便性を享受している。他方、インターネットではセキュリティの脆弱性などの問題から、今日、不正な情報利用などが広く横行するようになっており、現行法でも一定の規制を設けている。
具体的には、情報の改竄行為は電子計算機損壊等業務妨害罪(刑法234条の2)、虚偽の情報の送信行為について電磁的記録不正作出・供用罪(刑法161条の2)、ウィルスの作成行為について不正指令電磁的記録作成・提供等(刑法168条の2、168条の3)などにより、コンピュータの利用犯罪について規制が設けられているが、とりわけネットワークに関する不正アクセスを禁止するものとして「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」(平成11年8月13日法律第128号。以下「不正アクセス禁止法」という。)が制定されている* 。
警察白書によれば、不正アクセス禁止法違反による検挙件数は2013年には、前年よりも増加しており980件に至っており、今後も増加することが予想される。
* 国際的な枠組みとしては、サイバー犯罪から社会を保護することを目的とした共通の刑事政策を実施するため「サイバー犯罪に関する条約(Convention on Cybercrime)」が存在しており、我が国においても2012年に発効している。