《 AIとビジネス 》 ◆AIビジネスにおける倫理と法的課題
§ AIにおけるプライバシー保護
AIのビジネス活用において、特にプライバシー保護は重要な課題の一つである。AIシステムは膨大な量の個人データを扱うため、データの収集、保存、利用方法について適切な管理が求められる。特に、個人データの収集における透明性とユーザーの同意の取得が重要視されている。これに関連して、EUのGDPR(一般データ保護規則)などの規制は、企業がどのように個人情報を保護するかについて厳格な基準を定めている。
EUのGDPR(一般データ保護規則)について
GDPR(General Data Protection Regulation)は、EUにおいて2018年5月に施行された個人データ保護のための規則であり、世界中の企業に大きな影響を与えている。GDPRは、EU加盟国の住民の個人データを取り扱う企業に対して厳格な規制を課し、データの収集、保存、処理、移転に関する透明性やユーザーの同意を強く求めている。
GDPRは、以下のような主要な権利を個人に保障している:
● 同意の取得: 企業は、データを収集する前に明確かつ具体的な同意を個人から得なければならない。
● データアクセス権: 個人は、自分のデータがどのように使用されているかを確認する権利を持つ。
● データ削除権(忘れられる権利): 個人は、自分のデータの削除を要求する権利を有している。
● データ移転権: 個人は、自分のデータを他のサービスプロバイダーに移す権利を持つ。
GDPRは、違反した場合の制裁も非常に厳しく、企業は年間売上高の4%、または2,000万ユーロの罰金が科される可能性がある。このため、企業はAI技術の利用においてもGDPRを遵守し、プライバシー保護の徹底が必要である。
日本においても、AIの導入に伴うプライバシー保護が強調されており、特に顔認識技術や位置情報データの利用に対して社会的な懸念が高まっている。企業は、個人情報の管理においてプライバシーポリシーを明確にし、ユーザーに対する説明責任を果たす必要がある。