《 AIとビジネス 》 ◆AIビジネスにおける倫理と法的課題
§ AIの倫理的利用
AI技術がビジネスや社会に深く浸透する中で、倫理的な課題への対処が重要となっている。内閣府が2019年に発表した「人間中心のAI社会原則」では、AIがもたらす社会的な便益を最大化しつつ、負の側面を最小化するために、AI技術の利用に関する基本的な指針が示されている。
この原則は、特に「人間中心」であることを強調しており、AIが人間の尊厳を損なわない形で利用されることを求めている。具体的には、AIは人々の能力を補助し、創造性を発揮する手段として活用されるべきであり、AIに過度に依存したり、AIによって意思決定が操作されたりすることがあってはならないとされている。また、AI技術の普及に際しては、すべての人々がその恩恵を享受できるよう、情報格差や技術的な格差を解消するための取り組みも重要視されている。
さらに、プライバシーの保護やセキュリティの確保、公正な競争の維持といった原則も含まれており、AIが適切に社会に受け入れられるためには、技術の透明性と説明責任が欠かせない。特に、AIが収集・解析するデータにはバイアスが含まれやすいため、そのバイアスを除去し、公平な判断が行われるようにすることが重要である。