+詳説(非享受目的要件を満たさない場合)

《 AIと著作権 》◆生成AIと著作権に関する基本的な考え方 § AI開発・学習段階

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+詳説(非享受目的要件を満たさない場合)

 本「考え方」においては、以下のような場合は、既存の著作物に表現された思想又は感情を享受する目的が併存しているため、30条の4の適用がないとされている。

①意図的な過学習等、学習用データである著作物の類似物(創作的表現が共通したもの)を生成させることを目的としたもの

②「既存の著作物の創作的表現の全部又は一部を生成AIを用いて出力させること」を目的とした、検索拡張生成(RAG)*等で用いるための生成AI用の入力用データ(著作物)の収集・複製

 上記は、いずれも特定のクリエイターによる創作的表現を類似させた生成物を得ることを目的としたものである。著作権法は、アイデアを保護しないため、いわゆる「作風」は原則として保護の対象にはならないとされているが、アイデアと具体的表現の境界は、一律に区別されるものではない。したがって、特定のクリエイター類似の「生成物」を得ることを目的とするような場合は、当該クリエイターの表現を享受する目的が併存するといえる場合があり得ることになる。

* 出力の生成の際に、学習用データソース以外のデータベースを参照し、これらを用いて生成物を出力する。

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