《 AIとビジネス 》 ◆AIのビジネス利用の実践例とその懸念
§ 集英社のAIグラビア写真集の販売終了
AI技術を利用したコンテンツの作成は、さまざまなビジネス分野で急速に進んでいるが、一部では社会的な批判や倫理的な問題に直面する事例も増えている。集英社が2023年5月29日に発売したAI生成画像を使用したグラビア写真集「生まれたて。」も、その一例である。この写真集では「さつきあい」という実在しないAIモデルを起用し、妹系美少女というテーマで販売を開始したが、発売直後からさまざまな意見が寄せられた。
この事例は、AIを使ったコンテンツ制作が法的には適切であっても、社会的・倫理的な問題を十分に考慮する必要があることを示している。週刊プレイボーイ編集部は、法務部の確認を経て適法の範囲内で実施していたと説明しているが、生成AIを取り巻く問題点についての検討が十分でなかったことを認めた。そして、世間の議論の深まりを見据えて、AI生成物の商品化には慎重な対応が求められるとして、6月7日に販売を終了することを決定した。
この事例からは、AI技術がビジネスに応用される際に、法的な枠組みだけでなく、社会的責任や倫理的配慮が不可欠であることが強調されている。AIを活用した新しいビジネスモデルは多くの可能性を秘めているが、それと同時に適切なガバナンスと社会的な受容性の確保が必要だといえる。