《 AIとビジネス 》 ◆AIのビジネス利用の実践例とその懸念
§ マクドナルド日本の生成AI活用CM動画の炎上
2024年8月、マクドナルド日本が公開した生成AIを利用したCM動画が大きな批判を浴び、物議を醸した。この出来事は、生成AI技術を用いたビジネス戦略が消費者の期待に合致しない場合、企業のブランドイメージや信頼性に大きな影響を与えることを示す一例である。
このCMは、2024年8月17日にマクドナルド日本の公式X(旧Twitter)アカウントで公開されたものであり、マックフライポテトのM・Lサイズを250円で販売するキャンペーンをプロモーションするために制作された。生成AIクリエイターとして活動する架空飴氏が担当し、16秒間の動画ではビゼーの「カルメン」に合わせて、複数の美少女がポテトを持つシーンが次々に切り替わる。動画内では、「マックのポテトがマックで今だけお得に食べられる」というメッセージが繰り返され、視覚的なインパクトを狙ったものだった。
しかし、動画が公開されるとすぐに「不気味」「気持ち悪い」「食欲がなくなる」といった否定的な反応がSNSで相次いだ。特に最後のシーンで女性の指が6本に見える不自然な描写が指摘され、生成AIが引き起こす技術的な不具合への批判が集まった。また、AI技術を活用する必要性に対する疑問や、こうした技術がクリエイターの仕事を奪うのではないかという懸念も広く表明された。
この事例は、AI技術の導入が必ずしも消費者に好意的に受け入れられるわけではなく、技術的な完成度や文化的な感性が重要な要素であることを浮き彫りにしている。また、クリエイティブな分野においてAIが従来の制作手法に取って代わることへの抵抗感も顕在化しており、AIの利用には慎重な対応が求められることが示されている。