§ サーバー管理者が著作権侵害の責任を問われる場合

《 インターネットでのコンテンツ利用の注意 》 ◆著作権とは 

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§ サーバー管理者が著作権侵害の責任を問われる場合

 著作権に関する過去の裁判例においては、自らが物理的な侵害行為を行っていない場合であっても、他者の行った行為につき、自らが行為の主体として責任を問われた事例がある。これが一般に「カラオケ法理」と言われてきたものであるが、この「カラオケ法理」の元となった事案は、カラオケスナックにおいて客が歌唱行為を行ったことにつき、カラオケスナック経営者が当該行為の主体として、著作権侵害の責任を問われたものである* 。インターネットに関するものとしては、以下のようなものがある。

 インターネット上の掲示板にユーザーが書籍の内容をアップロードしたことに対し、権利者がその削除を求めたにもかかわらず、掲示板管理者がこれに応じなかった事案において、掲示板管理者に著作権侵害の責任を問われた例** がある。この事案で、裁判所は、「インターネット上においてだれもが匿名で書き込みが可能な掲示板を開設し運営する者は、著作権侵害となるような書き込みをしないよう、適切な注意事項を・・・案内するなどの事前の対策を講じるだけでなく、著作権侵害となる書き込みがあった際には、これに対し適切な是正措置を速やかに取る態勢で臨むべき義務があるとして、掲示板管理者が何ら削除措置を執らなかった行為に著作権侵害の責任を認めている。

* クラブキャッツアイ事件(最判昭63・3・15民集42巻3号199頁)

** 罪に濡れたふたり事件(東京高判平17・3・3判時1993号126頁)

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