有害情報のコントロール
デジタルコンテンツのセルフレイティング
【デジタルコンテンツの特質】
例えば、書籍等の紙媒体の場合と比較すると、デジタルコンテンツでは、コンテンツの内容の変更が容易である。このため、レイティング等の評価を実施した後に、コンテンツの内容がより過激なものに改変されるということが珍しくない。
また、インターネット上のデジタルコンテンツの評価では、インタラクティブ性(双方向性)についても考慮する必要がある。例えば、オンラインゲームで、何かが契機(トリガー)となってイベントが発生するような場合、評価者がその全ての分岐を辿って一つひとつのコンテンツを確かめていくというのは、事実上不可能である。
【セルフレイティングとサードパーティレイティング】
セルフレイティングとは、自社のコンテンツが法に抵触していないか、有害情報を含んでいないか、社会通念上認められるか等を、その企業自身が一定の基準に照らしてチェックを行うこと。
セルフレイティングでは、情報発信者の表現の自由が最大限尊重される。
サードパーティレイティングとは、第三者レイティングである。文字通り、コンテンツが法に抵触していないか、有害情報を含んでいないか、社会通念上認められるか等を、第三者が一定の基準に照らしてチェックを行うことである。
サードパーティレイティングはセルフレイティングに比べると客観性に優れたレイティングを実現しやすく、一定の透明性・公平性が保たれる。しかし、それでもレイティングを行う第三者の価値判断が入り込む余地があるため、恣意性や透明性の問題が生じる可能性が完全に排除できるわけではない。
【第三者が定めた基準を用いたセルフレイティング】
当機構(I-ROI)は、デジタルコンテンツのレイティング(評価)に際して、「第三者が定めた基準を用いたセルフレイティング」を推奨している。
言うまでもなく、第三者の手によるサードパーティレイティングのほうが、セルフレイティングに比べて客観的な評価がなされやすい。しかし、書籍や映画等の従来型のコンテンツとは違い、デジタルコンテンツの場合は頻繁にコンテンツの内容が改変され得るため、改変のたびに時間と費用をかけてサードパーティレイティングを実施するというのは容易ではない。
そのため、レイティングの際に用いる「一定の基準」については、第三者が定めた尺度を用いるという形で一定の客観性を確保しつつ、レイティング自体は情報発信者が自らの手で実施するという「第三者が定めた基準を用いたセルフレイティング」は、デジタルコンテンツの評価の有効な手法の一つだと言える。
【I-ROIのセルフレイティング】
I-ROIでは、青少年有害情報の有害成分を9種類のカテゴリに分類している。以下の9種類のカテゴリは、国際的にも有害となり得る可能性が高い情報であり、それぞれのカテゴリはさらに細分化される。
①ヌード等
②セックス
③暴力・残虐
④犯罪誘引行為
⑤麻薬等
⑥非行・反道徳的行為
⑦成人向け情報
⑧他者に対する差別表現
⑨権利侵害行為等