§ 自己情報コントロール権

《 インターネット上の個人情報保護 》 ◆個人情報保護制度の基礎

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§ 自己情報コントロール権

 個人情報保護制度は、自己情報コントロール権としてのプライバシー権を具体化するものであると言われたり、あるいは、そこまでではなくても、自己情報コントロール権と密接に関係すると言われたりする。

 ここで、自己情報コントロール権とはどのようなものだろうか。もっとも広く考えれば、それは、個人情報の収集・取得、保有・利用、開示、提供のすべてについて、いつ、どのように、どの程度まで、他者に委ねるのかを自ら決定する権利をいう。すなわち、本人の同意なくして個人情報が他者に伝達されることを防止し、個人情報が本人の手から離れた後も、本人がその扱われ方を統制することの保障を内容とする権利である。

 プライバシー権の概念は19世紀末のアメリカで提唱されたが、そこでのプライバシー権の内容は、私的な領域に侵入されないことや、私的なことがらを一般に公開されないということであり、また、このプライバシー権は不法行為法上の権利であった(伝統的プライバシー権)。しかし、先に述べたような情報化社会における個人情報のコンピュータ管理による脅威は、私的な領域への侵入や私的なことがらの公開といったものだけではない。むしろ、すでに第三者(国の機関や民間事業者)が保有している個人情報の取扱いをどのように規律するかが重要な課題となり、自己情報コントロール権が唱えられるようになったのであった。

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