§ 「写り込み」等に係る規定

《 インターネットでのコンテンツ利用の注意 》 ◆著作権とは

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§ 「写り込み」等に係る規定

 写真や動画を撮影する場合、バックに他人が著作権を有するキャラクターや音楽等が入り込んでしまうことがあり、これは、著作権法の定義上は「複製」に当たるし、これをネット上にアップロードすれば、「自動公衆送信」に該当することになる。このような場合、日本の著作権法には、包括的な権利制限規定が存在しないことから、著作権侵害となるのではないか、という議論が存在した。

 この点、2012年の著作権法改正において、写真・動画の撮影等の場合に、撮影等の対象とする事物等から分離すことが困難であるため付随して対象となる事物等に係る他の著作物に関して、著作権者の利益を不当に害さない限り、撮影した写真等に付随して利用する場合には侵害行為とならないことが明確にされた(著30条の2)。

 このような行為は、もともと、著作物の本質を感得できないのではないか、あるいは、著作物としての利用といえないのではないか、という観点から、明文の権利制限規定がなくても著作権侵害行為とならないのではないか、と言われているものではあったが、明文の権利として規定されたものである。

 著作権が、業務等とは関係なく、私的領域の行為に関しても、行使され得る権利であることに鑑みれば、著作権の過度な行使は、表現その他の行為の萎縮効果を招くことになる。本規定は、そのような観点から設けられたものと言える。

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