《 インターネット上の個人情報保護 》 ◆個人情報保護法の概要
§ 保有個人データに関する義務
(1)はじめに
最後に、保有個人データに関する義務に触れる。ここで中心となるのは、保有個人データの開示、訂正等および利用停止等の本人関与に関わる義務であるが(32~39条)、こうした本人関与の前提として、個人情報取扱事業者は、保有個人データの利用目的や本人関与の手続等について公表しなければならない(32条)。
(2)開示、訂正等、利用停止等の請求
本法が定める本人関与の方法は、開示、訂正等(訂正、追加、削除)、利用停止等(利用停止、消去)の3類型である。これは、個人情報取扱事業者の義務であるにとどまらず、裁判上請求できる本人の権利でもある。
(ⅰ)開示 まず、開示については、本人は原則として、個人情報取扱事業者に対し、本人が識別される保有個人データの開示を請求することができる(33条)。
(ⅱ)訂正等 本人は、個人情報取扱事業者に対し、保有個人データの内容が事実でない時は、その内容の訂正等(訂正、追加、削除)を請求することができる(34条)。請求を受けた個人情報取扱事業者は、利用目的の達成に必要な範囲内において遅滞なく必要な調査を行い、その結果に基づいて当該保有個人データの内容の訂正等を行わなければならない。
(ⅲ)利用停止等 35条は利用停止等(利用停止、消去)のほか、第三者提供の停止についても定めている。いずれも、過去にさかのぼってではなく、今後の利用や第三者提供を停止等するものである。
利用停止等の請求ができるのは、保有個人データが、
- ①利用目的内での利用を定める本法18条に違反して取り扱われている場合
- ②不適正利用を禁止する19条に違反して取り扱われている場合
- ③適正な取得を定める20条に違反して取得された場合
- ④27条1項、28条に反して第三者提供されている場合
である。
利用停止等を請求できる事由が限定されているため、例えば、ダイレクトメールやテレマーケティングが迷惑だからといって直ちに利用停止等の請求ができるわけではない。