《 AIとビジネス 》 ◆AI導入におけるリスクとデータ管理
§ データ管理とオーナーシップ
AIの活用において、データの管理や利用方法は重要な課題である。企業が収集したデータを適切に管理し、データの所有権や利用条件を明確にすることが求められる。「AI・データの利用に関する契約ガイドライン(AI編)」では、特にAI技術の開発・利用に伴う契約上の課題に対して、権利関係や責任分担をどう処理すべきかについてのガイドラインを提供している。
このガイドラインでは、AI技術を活用したソフトウェア開発における特有の問題として、AIシステムが学習するデータの管理とその権利帰属が複雑化することが指摘されている。AIモデルの性能が学習データに依存するため、データ提供者と開発者の間でデータの所有権や利用権についての調整が必要となる。また、AI技術の開発契約においては、開発段階でのリスクや権利の分配が重要なポイントとなる。特に学習済みモデルの知的財産権や利用権に関する問題が浮上しやすく、契約書においてこれらを事前に明確に規定する必要がある。
さらに、データの提供者が提供したデータの価値が損なわれないように、データの取り扱いや再利用に関する条件を厳密に設定することが求められる。特に企業間のデータ取引においては、情報の流出や不正使用を防ぐためのセキュリティ措置が重要である。