§ AIとコンプライアンス

《 生成AI黎明期 》 ◆AIの発展がもたらす課題

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§ AIとコンプライアンス

 生成AIと個人情報の観点から指摘されていることは、学習データの中に個人情報が含まれていた場合に利用者の指示によって個人情報が出力される可能性があること、また指示の中に個人情報が含まれていた場合の情報の取り扱いが不明確であるため、個人情報流出に繋がる恐れである。この点については、個人情報保護委員会が2023年に「生成AIサービスの利用に関する注意喚起等について」にて、一般事業者や行政、個人利用において個人情報の入力や取り扱いに留意することを示している。11)

 著作権は、著作物を創作した著作者に付与される権利である。では、生成AIの生成した文章や画像などは生成AIが著作者となるのか、それとも指示を出した利用者、もしくは、生成AIサービスを提供している開発者・サービス提供者となるのかといった議論がある。また、AIは人ではないことから著作者や著作物には該当しないのではないかという議論もある。文化庁の文化審議会著作権分科会法制度小委員会は、2024年に公開した「AIと著作権に関する考え方について」において、生成AIと著作権の関係を直接的に取り扱った判例及び裁判例の蓄積が乏しい状況を踏まえ、考え方を示すに留まっている。また、この小委員会の考え方を基に、経済産業省はコンテンツ制作における生成AIの適切な利用・活用の方向性を示すために2024年に「コンテンツ制作のための生成AI利活用ガイドブック」を公開し、現時点の運用として、AI任せではなく、人の手による確認や作業が対策として有効であるとしている。12) 13)

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