《 AIとビジネス 》 ◆AIのビジネスへの活用
§ データの利活用とビジネス
AIの強みは、大量のデータを処理し、分析する能力にある。これにより、ビジネスの意思決定が迅速かつ正確に行われ、企業は顧客データを活用して個別にカスタマイズされたサービスを提供したり、マーケット動向を予測して新商品を開発したりすることが可能となる。
さらに、データの利活用を促進するためには、企業間でのデータ共有を支えるオープンなデータ流通の構築が必要である。2016年に経済産業省が発表した「オープンなデータ流通構造に向けた環境整備」では、データが特定の企業に閉じられず、ビジネス全体で効率的に利用されることを目指している。
この報告書では、特にデータの「囲い込み」や、法的枠組みの不備が課題として指摘されている。多くの企業がデータを競合に対して開示することを躊躇している一方で、データが十分に流通しないことで、ビッグデータの潜在力が十分に活用されていない現状が示されている。また、データ流通システムの安全性やプライバシー保護に対する懸念も存在している。
このため、データの所有権やプライバシー保護を踏まえた法制度の整備や、匿名加工情報の活用、セキュリティ対策の強化などが求められている。データの自由な流通を可能にすることで、企業間の協力と競争が促進され、新たなサービスの創出や産業競争力の強化につながることが期待されている。