青少年インターネット環境整備法

特定サーバー管理業務

青少年インターネット環境整備法

【概要】

青少年が青少年有害情報を閲覧する機会を減らすことを目的としている。

この目的を達成するため、「特定サーバー管理者」の責務を規定している。

【アプローチ】

青少年インターネット環境整備法は、青少年有害情報の発信自体の禁止ではなく、発信された情報が青少年に閲覧されないよう対策するというアプローチをとる。

「特定サーバー管理者」の責務を規定する一方、閲覧者側のフィルタリング利用の促進を図る。

青少年の行動の規制ではなく、青少年のインターネット利用に関わる関係者の行動を規定するというアプローチをとる。

具体的には、関係者には、ISP、携帯ISP、インターネット接続機器製造事業者(メーカー)、OS開発事業者、保護者などが挙げられている。

【閲覧者側の関係者としての保護者等に求められること】

前述の通り、青少年インターネット環境整備法は、「閲覧者=青少年」の行動そのものを規制するものではないが、「閲覧者側」の関係者としての保護者等に対し、要約すると次のようなことを求めている。

・青少年の保護者は、インターネットに青少年有害情報が多く流通していることを認識し、自らの教育方針及び青少年の発達段階に応じ、青少年のインターネット利用状況を把握する。

・青少年の保護者は、フィルタリングの利用等によりインターネット利用を適切に管理し、青少年のインターネットを適切に活用する能力の習得の促進に努める。

・青少年の保護者は、インターネットの不適切な利用によって、青少年の売春、犯罪の被害、いじめ等様々な問題が生じることに特に留意する。

・青少年にスマートフォン等を買い与えようとする者は、スマートフォンの回線契約を結ぶ際に、端末使用者である青少年の年齢を正しく申告する。

【情報を発信・媒介する側である関係事業者の責務】

ISP、携帯ISP、インターネット接続機器製造事業者(メーカー)、OS開発事業者は、情報を発信したり媒介したりする側であるが、関係事業者には、次のような責務が課せられている。

・青少年が青少年有害情報を閲覧する機会をできるだけ少なくするための措置を講ずる。

・青少年のインターネットを適切に活用する能力の習得に資するための措置を講ずる。

※具体的にどの事業者にどのような義務が課せられているかは後述。

【青少年インターネット環境整備法が規定すること】

この法律で「青少年」とは、「18歳に満たない者」を指す。

この法律では、「青少年有害情報」を、インターネット上の「青少年の健全な育成を著しく阻害するもの」と定義している。

「青少年有害情報」の例として、犯罪の誘引、アダルト、残虐の3つが挙げられている。

【青少年有害情報について、当機構(I-ROI)が推奨すること】

青少年インターネット環境整備法は、犯罪の誘引、アダルト、残虐の3つを青少年有害情報の例として挙げているが、これはあくまで例示であって、これら3つ以外のものが青少年有害情報には該当しないと規定しているわけではない。

そのため、当機構では、特定サーバー管理者が自ら青少年有害情報の具体的な中身を定義することを推奨している。(不用意に青少年有害情報を発信してしまうことがないようにするため、あらかじめ定義しておくことで不用意な情報発信を防ぐようにする)

【携帯電話端末等による閲覧への対策】

青少年インターネット環境整備法は、青少年が携帯電話端末等でインターネットを利用する際に青少年有害情報を閲覧することについて、対策を講じている。そのため、関係者に課される義務をみると、携帯電話インターネット接続役務提供事業者(携帯ISP=携帯インターネットサービスプロバイダ)と契約代理店に多くの義務を課している。

※ここでいう「携帯電話端末等」とは、スマートフォンや携帯電話(いわゆるガラケー)、PHS、タブレット、携帯ゲーム機など。
※ここでいう「携帯電話インターネット接続役務提供事業者(携帯ISP)」とは、携帯電話端末等からのインターネット接続を提供する事業者のこと。(最も代表的な携帯ISPはキャリアだが、いわゆる格安SIM(仮想移動体通信事業者)も携帯ISPの対象となる)
※無線LANを通じたインターネットへのアクセスを提供する者は、携帯電話インターネット接続役務提供事業者には含まれない。

【携帯電話端末等による青少年のインターネット利用】

携帯ISPと契約代理店には、以下の義務が課せられている。

・「青少年確認」:契約者や使用者が18歳未満かどうかを確認する。

・「フィルタリング説明」:契約者や使用者が18歳未満であることを確認したら、携帯電話端末等の使用によって青少年有害情報を閲覧するおそれがあることと、フィルタリングの必要性・内容を必ず説明する。

・「フィルタリング有効化措置」:ISP契約とセットで販売される携帯電話端末等に、フィルタリングを有効化(インストール)した上で販売する。

※例外として、青少年の保護者が「フィルタリングは不要」と申し出れば、有効化措置をしないで販売することができる。
※青少年に使用させるために携帯電話端末等をISP契約とセットで購入する者(保護者などの成人)は、その携帯電話端末等の使用者が青少年である旨を正しく申告する義務がある。
※携帯電話端末等の製造事業者(メーカー)には、フィルタリング利用容易化措置(フィルタリングソフトウェアやフィルタリングサービスの利用を容易にする措置)の義務が課せられている。
※携帯電話端末等で使用される基本ソフトウェアの開発事業者(OS開発事業者)には、フィルタリング有効化措置及びフィルタリング容易化措置を円滑に行えるようにOSを開発する努力義務が課せられている。