《 ソーシャルメディアのリスク対策 》 ◆ソーシャルメディアのインシデントの実態
§ 炎上(フレーミング)
「炎上」と呼ばれる現象は、これまではブログや掲示板サービスを対象として、サイト管理者の意図する範囲を大幅に越え、非難・批判のコメントやトラックバックが殺到することとされていた。その場合の炎上が発生する原因としては、反社会的な記事・言動の発信、間違った知識の発信、主義の対立、根拠の無い提灯記事、身分を隠した自組織の擁護がある。
ソーシャルメディアの普及によって、これまでの炎上とは異なる要素が見られるようになった。つまり、問題の放置や無自覚、問題の過小評価、対応窓口・体制の不備、ソーシャルメディアの不理解、不適切・不誠実な対応、言い逃れ、威嚇、脅し、切り捨て、責任転嫁、先送りといったものである。
ソーシャルメディアの炎上の最大の問題は、「負の連鎖」で、炎上そのものがエンターテイメントとしてコンテンツ化し、拡大していく点である。進行中の炎上の様子をニュース板などの掲示板がメディア化して拡散することで新たな参加者が生じ、さらに炎上の規模の拡大が加速する、という現象が生じる。
炎上の参加者は、匿名で参加できること、インターネットを介した間接的な接触であるため罪悪感を持たずにすむこと、炎上のきっかけが対象者の触法行為の暴露や不用意な発言であることも多く、隠れた悪に「天誅を加える」「懲らしめる」といった意識で正当化しているということが珍しくない。
DCAとしては、炎上は兆しのうちに把握する仕組みを構築し、一度検知したなら、規模が拡大する前に抑えこむ仕組みを構築しなければならない。