+ 詳説(保護の対象となる情報)

《 インターネットでのコンテンツ利用の注意 》 ◆著作権とは § 保護の対象となる情報

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+ 詳説(保護の対象となる情報)

 著作物のほかに、保護される情報としては、実演、レコード* 、放送がある。これらは著作隣接権の保護の対象となる。著作物は、これを伝達する者がいなければ、その享受ができないものであり、このような伝達者にも一定の保護を与えるものである。ただし、著作権法において、伝達される内容が著作物であることは必要とされていない。

 このような著作隣接権の対象となる「実演」とは、「著作物を、演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗詠し、又はその他の方法により演ずること(これらに類する行為で、著作物を演じないが芸能的な性質を有するものを含む)をいう」と定義されており(著2条1項3号)、いわゆる俳優、歌手、演出家などがこれにあたる(同項4号参照)。

 また、「レコード」とは、「蓄音機用音盤、録音テープその他の物に音を固定したもの(音を専ら影像とともに再生することを目的とするものを除く。)をいう」とされており(同項5号)、著作物か否かを問わず、音を固定したものは「レコード」として保護の対象となる。自然音などは著作物ではないが、これを録音したものは「レコード」となり、これを最初に固定した者は、「レコード製作者」として保護される(同項6号参照)。

 「放送」とは、公衆によって同一の内容が同時に受信されることを目的として行う無線通信の送信とされ(同項8号)、これが有線の場合、有線放送となるが、いずれも著作隣接権の保護対象である。「同一の内容が同時に受信される」ことが必要であるから、インターネットでの情報発信のように、受信者が同時に同一の内容が受信されるのではない場合は、これに当たらない。放送、有線放送も、伝達対象が著作物である必要はない。動画共有サイトでテレビ番組の録画が投稿された場合、テレビ局は当該番組に著作権を有していなくても、著作隣接権者として同投稿を削除することを求めることができる。

 これらの権利は、一つの情報のうえに、重複して存在することがあり得る。例えば、市販のCDの音楽を無許諾でインターネット上にアップロードした場合、このような行為は、音楽の著作物についての著作権者、当該音楽を演奏した歌手等の実演家、このような実演をレコードとして固定したレコード製作者の権利をそれぞれ侵害することになる。

 実演、レコード、放送についても、基本は、日本国民が権利者であり、日本で最初に行われたものが保護の対象となるが、ローマ条約、WIPO実演・レコード条約で保護されるものは、外国のものであっても、日本国内で保護される。

* 米国連邦著作権法では、レコードは、著作権の対象として保護されている。

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