《 AIと人間社会 》
◆Society 5.0 実現に必要な社会変革「AI-Readyな社会」
「AI-Readyな社会」とは、AIが社会全体に広く浸透し、その便益を最大限に享受できる社会を指す。「何のために AI を用いるのか」という目的設定は人間が行う必要がある。この社会の実現には、以下の5つの観点からの留意が必要である。
① 人
AIの利用に際して、AIの特性を正しく理解し、AIに依存しすぎずに人間が主体的に判断できる能力が求められる。また、AIの利用により、創造的で生産性の高い仕事に従事できる環境が整備されるべきである。このため、教育システムや社会制度も、AIに対応したものに実現される必要がある。
② 社会システム
AIの進化に伴い、医療や金融、保険、交通、エネルギーなどの社会システムも柔軟に変化し、効率的かつ個別化されたサービスを提供できるようになることが期待されている。社会システムの設計においては、AIの進化に伴う負の側面(不平等や社会的排除など)にも対応できる柔軟な仕組みが求められる。
③ 産業構造
多様な人々が多様な夢やアイデアを実現できるよう、労働、雇用環境や創業環境が柔軟で国際的に開かれたものとなること求められる。企業には公正な競争を行い、柔軟な雇用環境を整備し、AIを活用したスタートアップへの投資の促進が求められる。
④ イノベーションシステム
AIの研究開発や社会実装を推進するためには、大学や研究機関、企業が連携し、多様な視点からイノベーションを生み出す仕組みを構築する必要がある。さらに、AIに関わるデータについて安全にプライバシー・セキュリティを確保しつつ、研究開発者に加えユーザも含めて研究開発や利活用を促進する環境を整備することが求められる。
⑤ ガバナンス
政府や企業、大学、一般市民など多様なステークホルダーが協力し、ガバナンスに関するルールや制度を設定し、影響を評価し実行する体制が必要である。特に社会的弱者の意見を反映し、柔軟で実効的な方法と国際協力体制の整備が重要である。