(2)2021年改正の概要

個人情報保護法及び電気通信事業法の改正

個人情報保護法及び電気通信事業法の改正

  • (2)2021年改正の概要
  •  2021年改正は、①いわゆる2000個問題への対応、②医療分野・学術研究分野の特殊性への対応を行うことが主眼である。
  •  ①は、これまで、個人情報保護に関する法令が、個人情報保護法、行政機関個人情報保護法、独立行政法人等個人情報保護法、各地方公共団体の個人情報保護条例というように、適用される主体ごとに分かれていたものを一元化するというものである。2000個問題とは、地方公共団体が約2000(実際には1700余りであるが)存在し、その数だけ個人情報保護ルールがあって不統一であることを象徴的に示す表現である。
  •  2021年改正により、行政機関個人情報保護法と独立行政法人等個人情報保護法とが廃止され、そこにあった規定は基本的には個人情報保護法に吸収された。そして、地方公共団体も、改正後の個人情報保護法によって規律されることになる(この部分は2023年4月施行)。これにより、個人情報保護に関する法律としては、個人情報保護法に一元化されることになる。もっとも、具体的なルールは民間部門(「個人情報取扱事業者」)と、国・地方の行政機関等とでは異なるが、それぞれに対する規律が改正後の個人情報保護法にまとめて規定されることになる。
  •  ②には2つのテーマがあり、1つは国公立の機関であっても、大学や病院などについては、民間部門の規律を適用することとした。それによって、例えば同じ大学であるのに、国立か私立によって適用されるルールが異なるという事態が避けられ、共同研究の促進等が図られる。もう1つは、EU域内から日本国内への個人情報の移転を円滑にするためのEU一般データ保護規則(GDPR)に基づく「十分性認定」を得るために、学術研究分野での個人情報の取扱いについてルールを精緻化したことである。
  •  以上、2021年改正については図3も参照のこと。

図3 個人情報保護制度見直しの全体像
出展:内閣官房(2021)「個人情報保護制度の見直しに関する最終報告概要」を元に筆者作成